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「中津川に住もう!」
中津川に住もうスタッフ 2023年8月9日 水曜日
移住サポーターの田中浩子です。
中津川市加子母に夫婦で20年ほど前に移住し、露地野菜や野菜苗を栽培している農家です。
夏は早朝から日の出までにトウモロコシを収穫して、手入れののち出荷して昼前には仕事終了という生活をしています。早朝の畑は涼しく、鳥やセミの声が響き始めるのを聞いています。
トウモロコシといえば夏がシーズンだと思われていますが、受粉時期に35°Cを超えると受粉率が下がるために標高が低い地域では夏に収穫するのは割合に難しい作物なんです。
加子母地区は標高が500〜700mほどあるので寒暖差が大きく、お盆を過ぎれば朝晩はひんやりするぐらいです。おかげで夏に糖度の高いトウモロコシを育てることができます。
余談ですが、トウモロコシのヒゲ1本づつが実1粒づつと繋がっています。
写真は受粉中の雌穂。美しいです。
育てた野菜や野菜苗は近場の直売所3カ所に出荷します。中津川市内から下呂市へと続く国道257号線沿いには直売所がいくつもあります。自分が移住してきたときにも直売所が多い地域だなぁと思いましたが、最近はさらに増えている気がします。
直売所を順々に巡るビジターの方も多くて、私が3カ所に出荷していると「さっきも会いましたねー。何を出荷してるんですか?」なんて話しかけてもらうこともあります。
直売所ごとに特色もありますが、スーパーでは見ないような野菜や山菜、きのこ、大福や豆腐などの加工品も並んでいます。
春先に「トマトが有名だって聞いたんだけど、ありませんか?」というお客さんも毎年見かけますが、残念ながらありません。(ハウスで促成栽培にチャレンジされている方のトマトは出ていたりもしますが。)その代わり季節の野菜が所狭しと並びます。並んでる野菜には勢いがあります。なんというかお上品ではないけれど、生き生きとしてます。
私にとって直売所は出荷に行く仕事先としてだけではなく、日々の食材を買う店でもあります。どんな人が作っているものかがはっきりと分かるし、仕事ついでにお気に入りの野菜や加工品をゲットできる一石二鳥の場所です。出荷者がお互いにお客さんでもあるという不思議な関係も面白いと思ってます。
中津川市を訪れた際には、直売所を覗いてみてくださいね。地元の食文化を垣間見るような食材を発見できるかもしれませんよ。
最近、友達と話していて面白いと思ったことを書いてみます。
それは「丁寧なくらしって何?」ということ。友達との話は結構盛り上がりました。
加子母地区は人口2600人ほどで地区の94%が山林という「ザ・田舎」です。
そんな田舎での暮らしは流行りの「丁寧なくらし」にみえるようですね。周囲の人たちの暮らしを見ていると、確かに畑を耕して野菜を育て、食材を加工して保存している人が多いです。
行事を大事にしたり、お互いに助け合うという精神も健在です。年配の方だけではなく、子育て世代でも朴葉寿司を手作りしたり、漬物や味噌を作るということも珍しくありません。
でも。おそらく田舎の人ではない人が想像するような「ゆったり」「じっくり」「丁寧な」暮らしではないよねという話になりました。
例えば、夏に知り合いの農家さんからカゴいっぱいのトマトをいただくことがあります(決して珍しい話ではありません)。もちろん食べ切れる量ではないですから、傷む前に加工してしまわなければならなくなります。
トマトジュースにしたり、ドライトマトにする人もいるようです。私の場合はケチャップを作ります。大仕事なので睡眠時間をかなり削ることになります。
冬にはたくさんの白菜や大根をもらったりもします。そうすると、毎日毎日白菜を食べ続けるか漬け物にするか。これまた大仕事です。
季節のジャムを作る、味噌を作る、草刈りをする、祭りの練習をするなど普段の暮らしに日常的にイレギュラーに入ってくる作業です。
確かに「丁寧なくらし」なことは間違いないのですが、何だかしっくり来ません。
思いついたのは「まめまめしい暮らし」という表現です。
自分の意思だけではなく、自然や他者からの影響でやることが盛り沢山の暮らし。
田舎の暮らしは、楽しくも「まめまめしい」忙しい暮らしです。