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2024年9月末(外国人含)

人口と世帯
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37,506人
世  帯 31,931世帯
中津川市に住もう

飛騨美濃伝統野菜「西方いも」の一年

中津川に住もうスタッフ 2024年12月25日 水曜日

移住サポーターの田中浩子です。
中津川市加子母に夫婦で20年ほど前に移住し、「たなか野菜畑」という屋号で露地野菜や野菜苗を栽培している農家です。

 

加子母には長い間作り続けられてきた「西方いも」(にしかたいも)という里芋があります。
この里芋の名前は、加子母の最北・小郷(おご)地区の西方というところで代々作りられてきたことに由来します。

粘りが強くて煮崩れしにくいところから、地元では”ねば芋”と呼ばれることもあります。

 

里芋は栽培が力仕事で重量野菜だということから、生産者が段々と減っています。私たちは就農当時から作り続けていて、たなか野菜畑の主力野菜の一つでもあります。

里芋の種芋を越冬させて翌年に畑に植え付けるわけですが、里芋は寒さに弱い野菜です。

そのため、種芋を越冬させるために室(むろ)に保存したり、土まんじゅうにしたり大事に大事に保存されてきたわけです。

春に出してみたら寒さにやられて腐ってしまっているということも十分にあり得ます。

 

そうやって先人が苦労して種芋を繋ぎ続けてきた西方いも。
そして今、県外から移住してきた私たちの生活の糧になるという巡り合わせ。次世代に繋いでいけたらと思う大事な作物です。

というわけで、西方いもの一年をご紹介します。

 

まずは種芋を選抜します。
越冬した種芋の中から、次世代を託す種芋を選んでいきます。大きさ、形、病気の有無などを見ながら選んでいきます。
それと同時に畑の準備を進めていきます。植え付けは4月末ごろ。

5月中旬になると、次々に芽を出してきます。小さな葉をパッと広げると、真ん中に次の少し大きい葉が出てきます。
それを繰り返して私の背丈を越すような大きさになっていきます。

高温多湿が大好きな里芋は、梅雨〜夏の間にどんどんと大きくなっていきます。
毎年スズメガの幼虫も付きますが里芋の成長の方が早いんです。スズメガの幼虫の食害なんてどこ吹く風といったところ。
雨粒を乗せてユラユラと葉を振る光景は、生命力を感じる光景です。

10月ごろになると、周辺の葉から枯れ始めます。地上の栄養を地下の芋に蓄えていく転流という段階に入ります。

収穫が始まるのも10月ごろからです。日にちが経つにつれてどんどんと里芋が大きくなるのもこの時期。

今年の本格的な霜は11月に入ってから。その日が来ると、それまでなんとか残っていた葉が全て枯れます。

一気に寒くなってくるので、ハウスに株ごと運び込んで保温して越冬に備えます。 いわゆる室を持っていないので、ハウス内に籾殻とシートを使って保温します。
電気などは使いませんが、里芋が出す呼吸熱で十分に保温し続けていけます。 この運び込んだ株から来年の種芋が選ばれることになります。

冬の到来と競争しつつ、畑に残る里芋を収穫して出荷していきます。 なんといっても11月、12月が最も需要の高い時期です。

そして、来春に種芋の選抜からスタートしていきます。