中津川市定住情報ポータルサイト
「中津川に住もう!」
これから中津川市へ移住定住をお考えのかたの参考にしていただくため、実際に移住定住された方にお話をうかがいました。
中津川市川上在住 大畑 賢悟さん 2016年3月掲載
すべてが楽じゃない、でも楽しさがある。
古民家をセルフビルドで修繕。
理想のワーク・ライフ・バランス。
中津川に来た時に嫁が「なんかいいね!」と言ったんです。
風景とか、なんか山が遠くにあって……。
以前は愛知県刈谷市に住んでいました。
生まれは石川県の珠洲市という能登半島の先っぽですけど。
看板塗装会社に修行に行き、そこから独立して、看板、装飾、内装などの仕事をしていました。
その後木工をやりはじめ、お客さんも「木のことなら大畑さんに」と依頼が来るようになり、大工やものづくり以外の仕事もいっぱいあったのですが、それを一区切りつけようかなと思いました。
そこで、土地を探し始めて、富士宮、滋賀県、三重県とたくさん探したんですが、最後に中津川をみたんです。
僕は渓流釣りが好きなので、中津川は前からよく来ていて「良い所だな」と思っていたんですけど、最初に定住推進課にお邪魔して、その時の印象がすごく良くて。
中津川市の人の暖かさというか……。都会の方の役所の方はそれほど親身になってくれた印象ではなかったんですが、中津川市の定住推進課の方はとても親身になってくれたので。
あと嫁の一言が決めるきっかけですね。
自分は都会しか住んだことがないのに他の所だと、「なんか都会だな」とか言っていたんですけど、中津川に来た時に嫁が「なんかいいね」と言ったんです。風景とか、なんか山が遠くにあって……いまの土地を見たときも、風景と、色んな条件ともはまって。
古民家を改装するというのも自分の目的でもあったので、予算も嫁とここを超えたら意味がないというように自分の中でも決めて、予算がちょうど合った物件があって、土地も広くて畑もできそうだったし、この家の横の倉庫兼工場は一応最初からあったんですが、中は全部自分で作り直して、そこから始めたんですね。
まずは、ここの工房を拠点として仮住まい造りから始めて、本家を直す感じでと今はやっています。
古民家再生……めくっていくといろんな歴史があっておもしろい
この建物、登記上は大正元年と書いてありました。最初不動産屋さんの書類を見たときは、昭和十何年と書いてあったんですけど、登記は大正元年でしたね。100年を超えていて、移築を繰り返した跡もあったり。
当初古民家という感じではなかったんですけど、めくっていくといろんな歴史があって、明治天皇の何とか、昭和の新聞が貼ってありましたよ。
やっぱり戦争にも生きてきたので、そういう材料は大事にしようと思いました。
そうなるとなかなか進まないですけど、別に仕事でやっているわけではないので、今のところのライフワークですね。工法は色々とありますが、自分なりに、昔のやりかたもやりつつ、今の新しい技法も取り入れて……、そういうのをやろうかなと思っています。
同じ苦労で一生懸命やるんならば、想えた土地でやってみたいと。
もともと石川県の能登半島は、たぶん中津川市よりもすごく田舎なんです。
当時仕事もあまりないので、観光や農業と漁業など。
今は能登空港というのができたり、すこしづつ便利になったんですけど、そんな田舎で育って、それで愛知の刈谷市に行って、色んな仕事をやりましたね。大都会にいったり、けど違うかなぁって思いはじめて……。
はたして僕はこの生活で、一生これでいいのかなと。
一応仕事もあったんですけど、周りからも信頼を受けてきたと思うんですけど、なんか違ってきて、木工をもっとやりたい、一生やりたいことだと思いましたし、山を感じて四季を感じたいと思いました。
のんびり暮らしたいとかそういうつもりはないんですけど、同じ苦労で一生懸命やるんならば、想えた土地でやってみたいと。
はっきり言って10年くらい前から刈谷以外のどこか行きたいなと探していたんですよ。
自然も釣りも好きなので、そんなところで、生きていきたいなと。
それが一昨年くらいかな……、もう我慢できなくなってきたので、それで嫁も「じゃあ行きなさい」と言ってくれたので、じゃあ先に行って地盤を作っておきますと。
嫁もいろいろ都合があったんですけど、今年の5月にはこちらに来る予定なんですよ。ここの完成も5月予定でやっているんです。
地域の皆さんも良い人なので、お茶したり、差し入れをもらったり、仕事仲間もできたりして、楽しいです。
来て2日目から全然さみしくなかったです。
周りの人たちには、これから自分が何かをやって認められるようにと思っています。
自分の姿を皆さんに見せて、「ああ、こいつは真剣なんだな」と思って貰えるように。
どこにいたってその仕事ができることは皆さんがすでに証明されているので、それを目指してやろうかな
何かをやろうと思う時、何かを捨てなきゃいけないことってあると思うので、向こうの仕事をキッパリ捨ててきた部分はあると思うんです。
若い頃はいろんなものをやってきたんです。これもやろう、これも吸収しようと。
でも、結局はそれを踏まえて少しづつ捨てていくのが人生というか、
もっと身軽に、自分の中に1本に絞るというか……。
人間関係は捨てていくものではないですけど、『こういう仕事は僕はもうしない』と、最終的にはわかってくれて、その会社の方は送別会までやってくれましたけど、そんな感じですかね。
たぶん苦労すると思います。この土地で一から始めようと思っているので。
皆さんはネットとかで全国的にやっていると思うので、どこにいたってその仕事ができることは皆さんがすでに証明されているので、それを目指してやろうかなと。
あとは自分の造りたいものを、今までできなかったので造っていこうかなと思います。そのためにはまずここだと思って、この家を造ってと思っています。
昨日も一人で風呂に入って、薪を割って、夜薪風呂に入ってっていう感じでやっています
向こうでは顔が疲れていたみたいで、あるお客さんには「僕が中津川へ移住する」と言ったらあまりびっくりされなくて、「良かったね」と言われたんです。
「そのかわり店をオープンする時にここのカウンターとか全部作ってね」、「どこに行っても大畑さんに頼むからね」って、それを言われた時はうれしかったですね。
木工とか上には上がいると思うんですけど、僕は個人個人の顔を見て仕事をしたかったので……。
向こうにいた時には、会社対会社の仕事がすごく多かったので、『はたしてこれは本当にお客さんが喜んでいるんだろうか』というのが感じられない部分があって、それを否定するつもりはないですけど、僕自身は個人的でないと疲れてきちゃうんです。
今も疲れたりしますけど楽しいですよ。
昨日も一人で風呂に入って、薪を割って、夜薪風呂に入ってっていう感じでやっています。
色んな業者さんも紹介してくれて設備や電気や材料屋さん。設備屋さんには、「五右衛門風呂使えますよ」、「ボイラーも使えますよと」と言ってくれて、僕がセルフでやる事にも、みなさん協力してくれて、そんな感じでやっています。だからいろいろ面白いです。
一日一人だと一言もしゃべらないこともありますが、色んな人が来てくれるので面白いです。地域の人も来てくれるし、移住の人もけっこういて、昨日も僕が大工さんだと思ったらしく、いつまで経ってもできないから怒ってやろうかと思って、「早くしてやらんとここの人住めやへんわ」って言おうと思ったら、僕が自分で直していたので、喜んじゃって。変な人が来た!!みたいに(笑)。それで昨日はご飯をご馳走になりました。
一旦向こうに行くこともあるので、それでこっちに帰ってくるとさみしいですけど、でも、一日経つと慣れちゃいますね。こちらの方がストレスが溜まらないです。
近所の人にはまだまだね「こいつはほんとうにやる気があるのか」って思われていると思うんですけど、この前も左義長に参加したんですけど、面白いなと思って。
上の地区の人に「僕は1年もたないと思う」とか言われて、こっちの人は「いや、もつ」とか言ってくれたりして、賭けられちゃって……。本当に毎日面白いです。
畑をやろうとか、パン釜を作ろう……燻製もやれるようにとか、色んなことをやりたくて、夢がありますね。
確かに川上は不便かもしれないですけど、スーパーに行くのもコンビニも遠いですけど、でもそれは工夫してやって、畑もやりたいなと思っているので、有機とかでね、畑を教えてくれるという先生もできたし、そんなこともやりたいし、無いものもあるけど、あるものも沢山あるかな。星空とか。
20年も便利な所にいてそれに慣れ過ぎていたので、少しは『うわ遠いな』とか思いますけど、それを楽しむというか、考えて生活するのも楽しいなと思います。
畑をやろうとか、パン釜を作ろうとも思っていて、燻製もやれるようにとか、色んなことをやりたくて、夢がありますね
木工でも色んなものを作って、それを売りながら、そこでお茶でも出せれたらなと思いますね。
六斎市も出たいですね。色々と出ようと思っています。
そのために、色々なことをやりたいんです。向こうでもそういう市に出たことがありますし、もっともっとやりたいです。
僕も来たばかりなんですけど、自分の中に1つでも想いがあれば、周りの人も助けてくれると思います
不便だろうし、楽なことはないかもしれないけど、楽しいことはありますね。
自分の中に信念というか、やりたい事があれば、やっていけると思います。
僕も来たばかりなんですけど、自分の中に1つでも想いがあれば、周りの人も助けてくれると思います。
だから僕はここが別荘で、楽に暮らそうというつもりで来ていないので、ここでもう一回頑張って、「ああ良かった。誰にも迷惑かけてなかった」という感じで最後を迎えたいですね。
「ああ、よそ者だな」と思う人もいると思うんですけど、、真面目にやっていれば周りの人が気にかけて来てくれるから、中津川市に移住して良かったなと思います。
インタビュー後記
中古の家を買って、自分の基地を建てて、家を自分で直しながら暮らしを楽しみたい。そういった移住希望の方も多いかと思います。
大畑さんのインタビューを通して、セルフビルドを希望される移住の方も、自分ひとりきりではなく、地域の人も「いつでも言ってよ」と気楽に近くにいて見守ってくれている。そんな暖かい日常を垣間見ることができました。
これからしばらく、大畑さんの家がどんな風にできあがっていくのかを追って見て行きたいと思います。
またお邪魔しますので、その時はよろしくお願いします。
古民家再生セルフビルド 現在の家の様子
追記 その後の様子(2018年11月現在)
オープン時の様子はこちら!
↓↓
里山古民家キャンプ宿KOHARUがOPENします!
キャンプ宿初日を終えて