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「中津川に住もう!」
これから中津川市へ移住定住をお考えのかたの参考にしていただくため、実際に移住定住された方にお話をうかがいました。
中津川市落合在住 原明也さん 房枝さんご夫婦 2019年11月掲載
家族構成(年齢):ご主人 原朋也さん(37歳) 奥様 原房枝さん(36歳)
ご出身:ご主人 坂下 奥様 東京都
ご職業:holidaypark ROASTWORKS
東京から中津川へUターン。
ご主人は高校を卒業後進学で和歌山へ。
その後東京にて10年ほどWEBデザイン会社に勤めた後、中津川へ。
奥様は生まれも育ちも東京都。ご主人と同じ会社で勤めた後、ご主人の実家のある中津川へ。
現在は中津川市本町で、ロースタリーカフェ&コワーキングスペースのあるholidaypark ROASTWORKSを経営されている原ご夫婦に、移住についてのお話をお聞きしました。
Q01 移住は、いつ頃からどのようなきっかけで始めましたか?
子どもが育つ環境としては東京よりも中津川の方がいいなと思っていて、子どもが今小1と年少3歳なんですが、小学校に入ったら東京から動けなくなると思ったので決断をしました。
まずは主人が独立してフリーランスに。
毎日満員電車で通勤して、夜遅く帰ってくる会社勤めをしていて、いわゆる都会の波に飲まれて暮らしていくよりも、自分たちにちょうどいいやり方があるんじゃないかと、今後の人生を考えはじめました。
独立してからは自由な時間も増えたので、好きなこと、やってみたかったことを色々やっていました。
Q02 移住したらどんなことをしたいと思っていましたか?
もともと物や建造物を保存したり、修復するという営みには興味がありました。
例えば「金継ぎ」という、割れたお皿を漆で修復する技術があって、それを習いに行ったり。古いものを良くする活動をしている友達に会ったりして、自分が移住してもそういう方向を目指したいなと考えていました。
あとはコーヒーが好きだったので、コーヒー教室にも参加しました。東京の巣鴨にある「珈琲サイフォン株式会社」というコーヒー器具メーカーがあって、そこの社長や従業員の方と仲良くなって、週に1回遊びに行ったりとかしていて。コーヒーを身近に感じる日々を1年ぐらい過ごしました。
その時奥さんは、ちょうど二人目の出産のタイミングでしたが、その子が3月生まれで、中津川だとそういうこともないとは思うのですが、東京だと3月生まれってなかなか保育園に入れないんですよ。園児募集のタイミングが合わなくて2歳くらいまでは待機児童を覚悟する状態になりました。
奥さんはまだ自営業でデザインの仕事をしていましたが、子どもが預けられずどうしようとなったときに、「Ryozan Park 大塚」という子連れで通えるコワーキングオフィスに出会いました。そこのオーナーはイギリス人の奥さんと日本人の旦那さんなんですが、ちょうどうちの子と同じ0歳の子がいて。
そこの方たちは、赤ちゃんをフルタイムで保育園に入れたくないという意識があって、自分でも少し働きつつ、子どもも見つつ、みたいなゆるい感じの働き方を探していらして、コワーキング施設専属の保育シッターさんを雇ってらっしゃったんですね。シッターさん2〜3人 がかわるがわるシフトで、保護者が見守るみることができる範囲で、一緒に子連れで来て、一緒にそこで仕事していていいよ、みたいな感じに。
利用しているお母さんたちはライターさんや、デスクワークでフリーランスの方が多かったんですけど、そういう奥さんたちが週に2〜3日子供を預けてそこで仕事して夕方に帰る、みたいな感じのコミュニティがありました。コワーキングってビジネスマンが使うというイメージだったのですが、こういうあったかいコミュニティにもなりうるんだなと感じました。移住ギリギリまでそこに居て、色々な方と出会いました。
その場所と出会ったのが、holidayparkにコワーキングを作るきっかけとしてとても大きい出来事でした。
Q3中津川に来たきっかけは?
ちょうど移住を決めたころ、一般社団法人ヒガシミノ団地の松下さんが、東京工業大学の学生さんと一緒に本町エリアで「空き家ツアー」っていうのをやっていまして、それは本町一帯の空き家を全部調査して、貸せそうな家屋を外から来た人に貸しますというものでした。たまたまFacebookでその情報を見て、連絡を取り、はじめてこの本町に来ました。
元々はフリーランスの仕事を続けるための小さな事務所を探そうぐらいの気持ちでいたのですが、本町の趣きある街並みを見て、ここの中の古民家を改装することも出来ると知った時に、奥さんは「ここでコワーキングをやりたい」、そして主人は「じゃあ僕はコーヒー屋をやってみたい」となって。
もしこの空き家ツアーや、このholidayparkの空き家がなかったら、もしかしたらカフェ自体やっていなかったかもしれません。
住まいは、本町のお店から遠すぎない距離の落合地区にしました。
落合は高校の同級生や親戚が住んでいたのですが、小中学校や保育園が近くて、コンパクトだから住みやすそうだねということで決めました。また親戚のつてで、近所の平屋を貸してもらえるということになったのも大きいです。
Q4移住先でやりたかった事は、どんな形で実現しましたか?
本町にある空き家を借り、今年の2月頃からリノベーションをして、8月にロースタリーカフェ&コワーキングの「holidaypark ROASTWORKS」をオープンさせました。
空間設計は長野県諏訪市の「Rebuilding Center JAPAN(通称:リビセン)」さんにお願いをしました。リビセンは全国でカフェやゲストハウスを手がけられているのですが、テーブルや建具などに、全国各地で古民家を取り壊す際にリビセンが「レスキュー」してきた古材を使うことをモットーにされています。
「holidaypark ROASTWORKS」でも、この家屋を解体するときにはがした床材を綺麗にして貼り直したり、長野・山梨などで「レスキュー」された古材でカフェテーブルを作ってもらったりしています。古材なので、昔の印が残っていたりして味わい深いです。
施工は付知の大工さんにお願いして、そして僕自身も現場に入って毎日手伝いながら、店舗を作っていきました。結果、とてもデザイン性の高い空間ができたと思います。
中津川には古い空き家が多く残っていて、ネガティブに語られることもありますが、デザイン次第でこんな風に洗練された空間にもできる。中津川の街並みにもこんなにポテンシャルがあるんだよ、っていうのを見せたかったんですよね。
holidayparkの店内ですが、1階はカフェと、コーヒーの豆の自家焙煎をしています。豆だけを買いに来るお客様もいらっしゃいます。カフェは注文してからハンドドリップで抽出するコーヒーや、エスプレッソ、抹茶ラテなどを提供しています。ランチやモーニングはやっていませんが、マフィンなどの焼き菓子やコーヒーゼリーといった軽食は出しています。お菓子も僕が作っています。
焙煎するコーヒー豆は、農園で働く人たちの労働環境が守られていたり、コーヒーの木を栽培をすることで森の環境が守られたりなど、そういった良いストーリーのある農地のものを積極的に使っています。エチオピアの豆に関しては、東京にいる間に知り合ったエチオピア人と一緒に現地の農場を視察したりもしています。
コーヒーはどちらかというと浅煎りを売りにしています。この辺りでは深煎りの、コクや苦みがあってスモーキーな味がスタンダードだと思うのですが、産地によって異なるコーヒー豆の特色を出すには浅煎りの方が分かりやすいんです。なのでここでコーヒー飲まれる方が「えっ!これコーヒー?」と驚かれることがよくあります(笑)。紅茶みたいでおいしいと言ってくださる人が多いです。
2階はコワーキングスペースで、キッチンもあって、Wi-Fi、プリンターなども完備しています。都会で「Ryozan Park」に居た頃のように、誰かがふと来て、ここで仕事をしていた人と偶然知り合いになるという環境が理想的なので、そういうことができればいいなと思って。
私もまだデザインの仕事をしているので、主人がカフェをやっている間に、2階で仕事しています。2階は利用料を1日500円にしているんですけど、カフェで800円以上注文して頂いた方も終日利用OKという形にしています。やはり500円でご利用される方は今のところ1人もいなくて、800円でコーヒーとお菓子を買って、2階にあがっていってお仕事される方が多いです。
ご利用者の例でいうと、近所にお勤めで、事務作業をいつもと違う環境で集中してされたい方とか。あとは子育て世代のお母さんたちで、自分で手芸などの小商いをされる方も多いのですが、そういう方たちが打ち合わせで来たり。
また、イベントやワークショップの場所として貸し出しをすることもあります。毎週木曜は、書道家・水墨画家の女性の先生が書道教室をされています。
Q5中津川に住んでみて、どんな風に生活は変わりましたか。
東京だと、外に一歩出ると車がバーっと来るので危ないから、子どもたちにはひとりでは玄関から出ないでねと注意していました。今は家の前に大きな庭があり、車もほとんど通らない路地にある家なので、子どもだけで外に出て花を摘んできたり、夜に空の星座が見たいと言って出ていくのも自由にさせています。
下の子も通園するのにJR山手線という混みあう電車にベビーカーを押し込むような感じで通勤していたので、病気ももらいやすかったです。子どもの生活はやっぱりガラッと変わったかな。
Q6移住をして苦労していることはありますか?
草刈りかな。小学校の草刈りもあるし、保育園の草刈りもあるし、町内会の草刈りもあるし自分の家の草刈りもあるし。草刈り機は一応買ったんですけどなかなか。東京では草刈りはなかったですから。「移住で要るものは何?」って聞かれたら絶対に「草刈り機」と「熊手」って言います!
あとは運転が、私、本当にペーパードライバーで。大学の時に免許を取ったんですけれど、それから15年間一度も運転してなかったんですよ!だからこっちに来て全部思い出したというか。来て一か月ぐらいはもう生きた心地がしなかったです。いつ死ぬかわからないみたいな。誰も横に乗ってくれないみたいな(笑)。
でもみなさん、周りの方も優しいですし、困ったことは特にありません。
Q7移住したらどんなことをしたいと思っていましたか?
ご近所さんがすごく親切だったり、夏にはみんなトマトをくれたり。子どもも引越しで環境がガラリと変わるので心配していたんですけれど、全然嫌がっていなくて、二人とも毎日楽しそうに通っています。
あと、出会えばあいさつするのがすごいいいなって思って。東京だとすれ違う人にあいさつって絶対しないんですよ、危ないから。顔見知りとか、例えば学校で見かけたことがある子でもお互いあいさつしないんですよね。だけど中津川では基本あいさつをします。
だから、周囲に誰が住んでいるかなんて、東京の時はまったく知らないけど、今は町内のどこに 誰が住んでいるっていうのはある程度分かった暮らしをしています。
あと、仕事をしていてパッと見たときに山があるっていうのがすごく最高!たまに東京に帰ると、山がないな…って寂しく思ってしまいます。
Q8移住して、楽しんでいること、これからしたいことや楽しみにしていることは何ですか?
カフェとコワーキングをしているので、人とのつながりが多くて、お仕事のご依頼もあるし、一緒に何かを企画をすることもあるし知り合いが増えました。
近隣でまちおこしの活動をされている方や、地元で頑張っている若い方などが、自然とここに集まって来るんです。私たちはカフェ一本ではなく、コワーキングオフィス一本でもないのでちょうど良い立ち位置なのではと思います。
本町にカフェがあって、ゲストハウスもできたので、何かもう一個ぐらい。パン屋さんとか、 蕎麦屋さんとか来てくれないかな。
老舗の元気なプレイヤーの方々と、私たちのような若い世代が一緒になってまちを盛り上げている良い流れがあるので、他にも新しいアイディアを持った仲間が、何かやってくれるといいなって。このまち自体を、もっと人が集まるように色々とやっていければいいなと思っています。
Q9これから移住をお考えの方へのメッセージをお願いします!
中津川は想像以上に住みやすいです。エリアによってはけっこう便利で、 新しいことをしている人もいっぱいいます。
中津川は未開というか、競合するところがないから新しいことをするなら今かなって思います。新しいことをはじめる時のハードルがすごく低いんです。
東京からの移住だと補助金もあって、資金面でもハードルが低くて、えい!って来てみてもいいんじゃないかなって思います。ぜひ仲間になってほしいです。